HOME >  業界ニュース >  「日本コンベンションサービス」、 BS8901認証取得
業界ニュース

「日本コンベンションサービス」、 BS8901認証取得

COP10、APEC首脳会合を手がけた「日本コンベンションサービス」が
BS8901(イベント・サステナビリティマネジメントシステム)認証取得

2011年1月17日の「ISO20121の策定会議開催」に引き続き、イベントマネジメントシステムの規格に関するあらたな前進のニュース。ISO20121の前身となるBS8901(イベント・サステナビリティマネジメントシステム)という規格認証を、日本のコンベンション関連企業の大手、日本コンベンションサービス株式会社が取得。先月2月7日に日本コンベンションサービスにおいて、その認証授与式が行なわれた。

「BS」というのは「英国規格」の略。これを策定・発行するBSI(英国規格協会)は世界で最も古い歴史を持つ国家規格協会のひとつで、この日本法人がBSIグループジャパン(株)となる。この「BS規格」は、マネジメント関連の規格において多くISO規格の原案として採用される実績を持つ。つまり、BS規格として策定されたマネジメント系の規格の多くが、ゆくゆくはISO規格に変わっている、という位置づけになり、今回のBS8901も、これを原案として来年2012年、ISO20121が発行される予定になっているという。これまでの事例として、1996年に発行されている「ISO14001」は、BS7750が原案となっており、また、「ISO9001」についても、BS5750が原案として採用されている。

認証式の日に行なわれた記者発表では、認証を受けた日本コンベンションサービスが実際にどのようなイベントマネジメントを行なっているかが紹介された。日本コンベンションサービスでは、はじめISO14001の取得を検討していたが、BS8901の方がよりイベントに特化した規格であり、イベントを業務として行う自分達の仕事に合った取組みができるということから、BS8901の認証取得に踏み切っている。活動の具体的内容として紹介された2009年のCOP10での取組みの一例を以下に紹介する。

[ 会議における環境配慮の取組みの一例 ] 

エネルギー・地球温暖化対策

・会期中、会場の空調温度設定を適正に行なう

・こまめに消灯及び空調の停止

3R・省資源

・FCS製品、パーティクルボードの使用

・マイカップの呼びかけ

交通

・アクセスのよい会場を選定し、公共機関使用を促す

・搬入搬出車両などへアイドリングストップ・エコドライブの呼びかけ

情報発信・コミュニケーション 地元関係者との協力

・参加者に環境配慮の取組みへの理解・協力を呼びかける

・環境配慮を推進する地元企業との連携をとる

飲食など

・食事の発注数を最小限に調整する

・食事のボリュームや種類を選べるようにして食べ残しを減らす

(※当日配布の資料より抜粋)

以上の例からもわかるように、BS8901では、イベントのサステナビリティ(持続可能性)を、「経済」「環境」「社会」という3つの側面からとらえている。今までのように「経済効果」ばかりに注目するのではなく、環境負荷を減らし、地域住民への理解にも配慮することを求めているということだ。“使い捨て”“その場限り”が多かったイベント運営を環境負荷の少ない方法に変えていこうという取り組みは徐々に一般的になりつつあるが、それに加えて「社会的配慮」という視点が明確になっていること、そしてそのための具体策が、認証を受けた企業の施策を通して、上記のように紹介されたことが、今までにないポイントといえるのではないだろうか。

さらに記者発表では、「BS8901はオリンピックのような国際イベントから地方のお祭りまで、あらゆるタイプのイベントに適用が可能である。及び、1回のイベントだけでも、組織単位でも適用できる、イベントに特化した規格である」という特徴について説明され、イベントの主催社、運営者、イベント会場、施工業者、サプライヤーなど、すべての関係者が活用できる規格であることが説明された。

記者発表後に行なわれた質疑応答では、ビジネスへの生かし方に関する質問が寄せられていたのが印象的。業界としてはやはり、認証を得ることがどうビジネスチャンスにつながるか、という点に注目が集まるだろう。規格化が進められている背景に「今までのやり方への反省」があるのはもちろんだが、この「BS8901」あるいは「ISO20121」といった規格が今後一般的になるならば、ビジネスへの結び付け方、クライアントへの売り込み方といった視点はさらに重要になってくる。

国際規格・国家規格に限らず、イベント関連のガイドラインは、安全・防災に関するもの(※1)、ユニバーサル環境に言及したもの(※2)、環境保護のもの(※3)など様々なものがあり、さまざまな団体によって提唱されている。イベント運営の合理化、危機対策、社会貢献、環境保護などさまざまな理由によるものだが、そこに二次的に発生する「他のイベントや企業との差別化」というメリットも視野に入れて、今後の動向に注目をしていきたいところだ。

*

(※1)参考リンク:東京都公式ホームページ http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2009/04/70j4d100.htm

(※2)参考リンク:ユニバーサルイベント協会 http://u-event.jp/index.html

(※3)参考リンク:北海道エコイベント指針 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ksk/top_page/ecoevent.htm

*

「日本コンベンションサービス」、 BS8901認証取得

記者発表後に行なわれた認証授与式。左から日本コンベンションサービス(株)代表取締役社長の近浪弘武氏、BSIグループジャパン(株)代表取締役社長の竹尾直章氏

「日本コンベンションサービス」、 BS8901認証取得

今回のBS8901審査のリーダー審査員を務めたBSIグループジャパン(株)の泉佳夫氏は、日本コンベンションサービス(株)のマネジメントシステムを「非常に実務的に構築されている」とコメント

「日本コンベンションサービス」、 BS8901認証取得

今回の認証を受けた日本コンベンションサービス(株)の星野昌也氏が、昨年のCOP10で行なわれた施策を例に同社の取り組みについて紹介

 

 

問い合わせ先

■日本コンベンションサービス株式会社
http://www.convention.co.jp/

■BSIグループジャパン株式会社
http://www.bsigroup.jp/

セミナー情報

BSIグループジャパンがBS8901概要解説セミナーを開催
日時:2011年3月9日(水) 14:00~16:30(受付13:30)
会場:BSIジャパン東京本社(東京都港区)
詳細・申込:http://www.bsigroup.jp/BS8901-SPSeminar-TOP