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コラム・特集

今夏の節電の取り組みを振り返る【2】

大小様々ある打ち水イベント
特に今夏は節電の影響で注目度が増した

このたびの原発事故は、イベント業界にも大きく影響した。いうまでもなく節電だ。来場者の満足度を下げることなく、いかに電力を使わずにイベントを構成していくのかということに、各主催者は大きく頭を悩ませたのではないだろうか。

そんななか、コンテンツのひとつとしてかなりの頻度で開催されているのが「打ち水」だ。周辺の温度を下げるというヒートアイランド対策としての効果をねらっていることはもちろん、実施コストを抑えられ、大勢が参加することでメッセージ性も高く、また実施する過程を通じて、地球環境問題への意識の啓発、水の再利用の促進、近隣コミュニティとの関係の再構築など様々な効果が期待できるということで、今や全国各地で行なわれている。

なかでも大きなものに「打ち水大作戦」(打ち水大作戦本部主催)がある。いくつかのNPO団体が企画・運営をしているこの取り組みは2003年からスタート。当初は23区内のみで行なわれ、34万人という参加者数だったが、次第に全国に広まり、海外でも同時に行なわれるなど急速に規模を拡大。昨年は記録的な猛暑だったこともあって795万人が参加をした。こうした動きに東京都下水道局も呼応。芝浦、有明、落合の各水再生センターで、再生水を無料で渡すという取り組みも行なっている。

「大丸有打ち水プロジェクト」(大手町・丸の内・有楽町打ち水プロジェクト実行委員会主催)も大きなイベントとなっている。「大丸有」とは大手町・丸の内・有楽町のことだが、多くの企業が集まるこの3つの街がひとつになって、ワーカーや来街者とともに様々なかたちで打ち水を行なおうというもの。すでに7年にわたって行なわれている定番イベントだ。主催者によると、参加企業や参加店舗が大幅に増えているという(こちらの記事参照)。

他にも大小様々な企画が実施されているが、特に今年はあらためて打ち水が見直され、参加者も増えたというところが多かったよう。やはり、人々の関心はここ数年に比べて大きく高まったのだろう。打ち水に参加することで、「電力に頼らない涼の取り方」までをあらためて考える人も多かったと思われる。

もはや夏のイベントには欠かせなくなった打ち水
個性的な方法も増加

さて、ひと口に打ち水といってもその中身は様々。その多くは、できるだけ多くの人に参加してほしいということで、特に制限を設けていないが、なかには子ども向け(親子連れ向け)に特化したものもいくつかある。

なかでも興味深い取り組みだったのが東京ミッドタウンで行なわれた「六本木打ち水大作戦2011」だった。これまでも東京ミッドタウンでは打ち水が行なわれてきたが、今年は回数を増やし、7月22日(金)の「出陣式」を皮切りに計4回実施。そのなかの8月10日(水)の回を「こども打ち水」と題し、親子参加を主な対象とした(大人だけでの参加も可)。

ここでは、子どもたちが楽しんで打ち水ができるよう、水を撒くと地面に花や動物、音符といった絵が出現するという仕掛けが用意された。これは強力な防水スプレーを絵のかたちに吹き付けたもの。種明かしを聞くと以外と単純に感じるかもしれないが、何も知らずに見ると大人でも驚いてしまう。実際水を撒いてみないとどんな絵が出現するかわからず、子供たちは夢中になって打ち水を行なっていた。特に未就学児童頃の年齢では、ただ打ち水をするというだけでは飽きてしまうため、こうしたゲーム的要素が入ることでより楽しみながら打ち水に参加することができる。

これを応用し、例えばクイズを出して、その答えが出るようにする、あるいはスタンプラリーとからめるなど、大人もいっしょになって楽しむということもできそうだ。定番となった打ち水に新たな要素がプラスされることで、イベント自体にも様々な楽しみが現れてくる。

次なる事例は、「萌える格好で打ち水しよう!」という合言葉のもと秋葉原で実施された「うち水っ娘大集合2011」(NPO法人秋葉原で社会貢献を行う市民の会リコリタ / 打ち水大作戦本部主催)。こちらも8年目を数える取り組みで、秋葉原らしくメイド喫茶のメイドや、一般のコスプレイヤー、浴衣姿の若い女性など、それぞれが個性的なスタイルに扮して参加。周辺の飲食店なども協力をし、秋葉原全域で打ち水を行なった。

ビアガーデンの会場で、そこの客とともに打ち水を行なう「”大手町・縁日”打ち水」(大手町・丸の内・有楽町打ち水プロジェクト実行委員会主催)、クルマの販促キャンペーンと打ち水を合体させた「MINI UCHIMIZU 大作戦」(ビー・エム・ダブリュー(株)主催)など、ほかにも特色ある取り組みが数多く行なわれた。

また、打ち水を行なうことで、実際どれほど涼しく感じたのかをサイト上で発表している「打水感測」((株)ウェザーニューズ)という企画も注目を集めている。これは、定められた期間中に(今年は7月25日(月)~8月31日(水)まで)、イベントでも個人宅でもどちらでも打ち水を実施した人が実際に涼しく感じたり、エアコンを切った(あるいは設定温度を上げた)ことを「打水感測」のサイトにリポート。それがサイト上のマップに載るというもの。全国で30万人が参加しており、打ち水の効果をみんなで共有することで打ち水文化を浸透させようというねらいがある。

以上のように、夏に屋外で実施するイベントには、もはや打ち水はつきものといってもいいほど多くの場所で行なわれている。そしてその方法も様々な工夫がなされ、進化している。

現代によみがえった夏の風物詩が、節電でさらにクローズアップされた格好となったわけだが、電力不足の状態は来夏も続くと予想されるだけに、それを逆手にとった新たなかたちでの打ち水イベントがより増えていくのではないだろうか。

(鈴木隆文)

都内の主な打ち水イベント
日程 タイトル 会場 主催
7月13日(水) 日比谷通り打ち水大作戦 日比谷通り沿い歩道 みなと環境にやさしい事業者会議/
(株)長谷工コーポレーション/三菱化学(株)/
三菱自動車工業株
7月18日(月)~
8月31日(水)
ファミリーマート打水デー 全国のファミリーマート8,300店 (株)ファミリーマート
7月21日(木) たいとう打ち水大作戦 台東区役所正面玄関前 台東区
7月22日(金)ほか 六本木打ち水大作戦 東京ミッドタウン 東京ミッドタウン町会/六本木町会/竜土町会/
六本木商店街振興組合/東京ミッドタウン
7月23日(土) 原宿打ち水大作戦 神宮前遊歩道 打ち水大作戦本部
7月23日(土) 打ち水大作戦しながわ2011 戸越公園駅前南口商店街 品川区都市環境事業部環境課
7月23日(土) 打ち水大作戦 北千住駅西口ペデストリアンデッキ 足立区
7月23日(土)~
8月23日(火)
MINI UCHIMIZU 大作戦 全国105店のショールーム他 ビー・エム・ダブリュー(株)
7月25日(月)~
8月31日(水)
区役所本庁舎前打ち水 千代田区役所本庁舎前 千代田区環境安全部環境・温暖化対策課
7月29日(金) 六本木ヒルズ打ち水大作戦 六本木ヒルズ/けやき坂 森ビル(株)
7月29日(金) 丸の内打ち水Weeks 行幸通り他 大手町・丸の内・有楽町打ち水プロジェクト実行委員会
7月31日(日) うち水っ娘大集合!2011 秋葉原駅西口交通広場 NPO法人秋葉原で社会貢献を行う市民の会リコリタ
7月31日(日) 銀座千人涼風計画 銀座通り3丁目~4丁目/
銀座通り5丁目~6丁目
全銀座会/銀座通連合会
8月1日(月) 千代田区打ち水大作戦 JR秋葉原駅西側交通広場 千代田区環境安全部環境・温暖化対策課
8月1日(月) カレッタ汐留 カレッタ汐留 (株)電通
8月1日(月) 新宿打ち水大作戦 高田馬場駅前ロータリー広場 新宿区環境清掃部環境対策課
8月4日(木) 2011打ち水大作戦 京王プラザホテル前 新宿企業ボランティア連絡会/新宿区社会福祉協議会
8月4日(木) 橋の日打ち水大作戦 日本橋滝の広場 ECO EDO日本橋実行委員会/名橋「日本橋」保存会
8月5日(金) 白金高輪打ち水大作戦 アエルシティ 日経BP
8月6日(土) としまエコライフフェアプレイベント 中池袋公園内 豊島区清掃環境部環境政策課
8月7日(日) おおた打ち水大作戦 蒲田東口商店街 大田区/大蒲田祭「神輿連合渡御」/
蒲田東上商店街商業協同組合
8月8日(月)~
8月12日(金)
武蔵野打ち水大作戦 武蔵野市役所本庁舎前 武蔵野市
8月21日(日) 緑のおもてなし「まちなかカフェ」 いけぶくろ茜の里 ゼファー池袋まちづくり/池袋四丁目西町会
8月23日(火) お台場打ち水大作戦 お台場 ペデストリアンデッキ ホテル日航東京他

 

参考リンク

○打ち水大作戦2011 http://uchimizu.jp/about/#2010
○大丸有打ち水プロジェクト2011 http://ecozzeria.jp/action/uchimizu/
○東京ミッドタウン 六本木打ち水大作戦 http://www.tokyo-midtown.com/jp/summer/2011/uchimizu/
○うち水っ娘大集合!2011 http://uchimizukko.chu.jp/index.html
○打水感測 http://weathernews.jp/uchimizu/