3月11日を忘れないために 被災地への想いをみんなで共有するイベントを東京青年会議所が実施

お台場の海を彩った打ち上げ花火。周囲の商業施設からの見物客も多かったようだ

「明るい豊かな社会の実現」という理念を掲げながら活動を続けている公益社団法人東京青年会議所（東京JC）と、同団体のOBで構成された東京JCシニアクラブとの共催で行なわれた復興支援イベント。

東京JCは、年間を通して様々なかたちで「例会」を行なっているが、そのひとつとして昨年3月11日に起きた東日本大震災から1年となったこの日、「心に刻み 未来へ踏み出す」を合言葉に、被災者を慰め、サポートしようという趣旨の企画を実施した。

具体的には、震災で犠牲になった人々への黙祷、この時期としては珍しい打ち上げ花火、震災で賞賛を受けた日本人本来の心の持ちようや行動についての基調講演、ミニライブ、灯籠流し、竹灯点火、生活困窮者などへの食料支援を実施しているセカンドハーベスト・ジャパンによる3,000食の炊き出しなどが行なわれた。

JCのような団体の「例会」というと、会員を対象とした内向きの企画が多い印象だが、今回は一般の人々に向けてもポスターや新聞記事、SNSなどを使って積極的に広報。その甲斐あって、当日たまたま通ったという人も含め、多くの一般客が参加しての企画となった。

「今回のイベントは、まず未来を想像する一歩を踏み出すことを目的としています。したがってタイトルにも『次世代へ想像』という文言を入れました。誰もが心の中には震災への思いがありますが、表現方法もわからず、ただ風化していくのだと思います。しかし、手を広げればこんなにたくさんの思いのある方々がまわりにいることに気づくことが大切。悲しみ耐えるばかりではなく、笑顔咲く１日目を踏み出したいという思いから、このイベントを企画しました」（公益社団法人東京青年会議所 復興支援特別委員会 二ノ宮雅登委員長）

今回、被災地から関東に避難をしている人も187名が来場。被災者にとっては震災が風化し、忘れられること、取り残されることを最も危惧しているだけに、被災者と首都圏の人間が思いを共有できるこうした企画を開催する意義は非常に大きいといえるだろう。

それだけに重要となるのが継続性。ちなみに今回、美しい打ち上げ花火が印象に残ったが、各地で行なわれている花火大会の一部は、戦災からの復興を願って始められたものも少なくない。

この継続性という点は東京JCとしても当然ながら重視しており、来年3月の企画はもとより、今年7月に「観光」をテーマに、より直接的な支援ができるような企画を上野駅にて開催する予定があるとのこと。

震災から1年が経ち、生活再建をどうするのかという段階にきている被災者にどのようなサポートができるのか。今後の動きに注目したい。
（2012年3月11日 鈴木隆文）

当日スケジュール

イベント開催概要

【名称】3・11を心に刻む「次世代の想像のために」　～東京の夜空を照らす輝きと想い～
http://www.tokyo-jc.or.jp/2012/regular/index-regular/reikai03.html
【会期】2012年3月11日(日)
【会場】お台場海浜公園
【主催】公益社団法人東京青年会議所／東京JCシニアクラブ
【主管】公益社団法人東京青年会議所 復興支援特別委員会
【後援】東京都／東京都港区／臨海副都心まちづくり協議会
【協力】公益社団法人日本青年会議所関東地区東京ブロック協議会／セカンドハーベスト・ジャパン
【入場料】無料（灯籠、竹灯はそれぞれ500円で販売）
【ターゲット】広く一般
【告知宣伝】公式サイト、港区報及び掲示板、会場周辺世帯へのポスティング、お台場の企業を通じての告知（ホテル、鉄道、デックス東京、アクアシティお台場など）、フェイスブック、ツイッターの活用、新聞による告知記事、避難世帯への告知
【制作印刷物】チラシ、ポスター
【来場者数】約4,000人（デックス東京などでの立ち見も含めると約6,000人）
【スタッフ数】約50名（東京青年会議所からのスタッフ数）

東京青年会議所 2012年例会スケジュール