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「反社会的勢力とイベント」JACEセミナー第2弾 関係解消の実務&ケーススタディ

「反社会的勢力とイベント」JACEセミナー第2弾 関係解消の実務&ケーススタディ

第2弾のテーマは「関係解消の実務編」。復興イベント、スポーツイベントを想定したケーススタディを交えて実施した

昨年末に開催されたJACEサロン「反社会的勢力とイベント(取材記事はこちら)」の第2弾が開催された。今回は前回の概論から前に進み、実務についての解説とケーススタディを中心に2時間で構成。講師は引き続き、『暴力団排除条例ガイドブック』の執筆を手がけた(株)エス・ピー・ネットワークの芳賀恒人主任研究員が務めた。

第2弾のテーマは「関係解消の実務編」。まずは全都道府県で制定されている暴力団排除条例について、その及ぶ範囲が従来の“暴力団構成員”から“共生者”にまで広がってきていることをおさらいした。暴力団をはじめとする反社会的勢力(以下、反社)の排除を実践する際に求められるのは、反社との関係をもたないこと、そして既に出来ている関係を解消すること、それによって彼らの収入源を絶つことになるが、反社の存在や定義があいまいになってきている以上、入り口(新規取引の開始)の時点で反社をブロックするのは非常に難しい。芳賀氏によれば、「すでに反社との関係はできてしまっている」という前提にたち、その上で、「何かおかしい」と感じたときにすぐチェックできる体制を整えること、そしてチェックの結果を受けて確実に関係解消できるような準備をすることが、一番現実的な対策になるという。

準備として必要なのは、契約書や取引約款などで反社の排除を謳う“排除条項”を設定すること。特にイベント業界では下請けや運送業務など“関連契約”に関する規定を盛り込んでおくことが重要になってくる。また、現場の人間が感じる「何かおかしい」という情報を社内で共有できるようにする体制づくりは、初動を確実にするために非常に有効だとか。このような準備を行なった上で、実際に取引先が「あやしい」ということになったときにとる手順が以下のとおりに紹介された。

⇒まずは反社かどうかのチェック

⇒グレーということになる(確実に黒と判明することはあまりない)

⇒警察に照会(弁護士に同行してもらうのが望ましい)

⇒結果を受け契約解除通知の送付

⇒あとは先方の反応に添った対応

もちろん上記を行なうためには、社内の対応マニュアル作り、警察照会の事前準備、役職員の安全確保、そして再度関係を作らないための業務見直しなど、細かい対策も必要となってくる。さらにいえばそれらを行なうタイミングもまた重要ということで、このあたりは関係解消実務のコアとなる部分だろう。「本来なら現在進行中の案件について様々な例を出したいところですが、それはさすがにむずかしい」と芳賀氏。

後半は、スポーツイベントや復興イベントで想定される4事例を使ったケーススタディが行なわれた。取り上げたのは「地回り・ダフ行為」の何が問題となるか、「イベントを中止しろ!」という要求にどう対応するか、「再委託先(下請け企業)」が問題となったら・・?など4つの例。問題を引き起こしやすい対応や、断る際の便利な言い回しなどが例示されると、参加者のメモをとる表情も真剣なものに。続いてのQ&Aでは「取引先から期間従業員を含む社員全員の反社チェックを求められている」という実際のケースが話題となったほか、「このようなセミナーが開かれ、業界が変わってきている事実は非常にいいこと」と評価する声もあがった。最後は講師の芳賀氏が「グレーなことをしようとすると反社に頼ることになる。法にのっとって正面から進めることが大事」と指摘。改めてコンプライアンスの大切さを訴えた。

反社排除は業界や社会が一枚岩となることが求められている課題。既に対策を始めている企業にとっても、それ以外の企業にとっても、このような情報共有の場は今後も必要になってくることだろう。なお、今回は3.11の直前ということもあり、業務のためセミナーに参加できない、後日内容を知りたいという声も多かったということだ。次回の予定等については下記JACEまで問い合わせを。また(株)エス・ピー・ネットワークでは反社排除にまつわるさまざまなセミナーを随時開催している。こちらも下記、同社のホームページを参照のこと。

(2012年3月8日(水)大塚泰子)

<開催概要>

●テーマ:「 実践編 反社会的勢力とイベント 」
●日程:3月8日(水)セミナー16:00~ 懇親会  18:00~
●参加費:無料(懇親会のみ1,000円)
●会場:JACE会議室
●講師:(株)エス・ピー・ネットワーク 芳賀恒人氏
●協力:テイケイ <旧・帝国警備保障(株)>
●参加者:21名
●問合先:JACE

<(株)エス・ピー・ネットワーク>

危機管理全般を取り扱う専門企業で、多くの企業の依頼を受けて反社会的勢力排除の実務をこなしている。1月28日号の『週刊東洋経済』の特集「これが日本の暴力団の実態だ!」では資料提供や執筆を行なった。