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日本工学院“イベント企画コース”実習レポート 凧とかるたで「大田区の魅力再発見!!」

2月のよく晴れた週末、大田区多摩川の河川敷で、凧作り&凧揚げ&かるた体験のイベントが開催された。対象は小学生とその親たち、テーマは“大田区の魅力再発見!!”。事前申し込みした区内の親子が対象だが、凧揚げについては、興味を持った通りがかりの人も気軽にチャレンジできるうれしい企画。天気が回復した日曜日は参加者も多く、川原では温かい肉まんやお茶などのふるまいもあって終始にぎやかな雰囲気となった。

日本工学院“イベント企画コース”実習レポート 凧とかるたで「大田区の魅力再発見!!」

まさにとんびが空を舞っているように見える「とんび凧」は、その昔、カラスの食害を防ぐために揚げられていた。参加者はみな夢中になって凧揚げを楽しみ、まわりの人も「これつくりたーい」と興味津々だったとか

このイベントを企画・制作したのは日本工学院専門学校のコンサート・イベント科イベント企画コースの1年生19人。同コースではイベントのコンセプトの立て方、企画書づくり、プロデュース・運営等を基礎から学んでいるが、実際にイベントを行なう実習では、産学協同プロジェクトや、他学科とのコラボレーションを行なっている。

担当教員によると、1年生は毎年この時期、学校が立地する大田区の“地域活性”をテーマにしたイベントを企画するのが決まり。昨年度の1年生は商店街と協働した企画、一昨年度は下町の工場見学を盛り込んだ企画を行なったという。続く今年度は年末の授業でグループごとにアイデアを出しプレゼンテーションを行なった結果、凧とかるたをピックアップした本企画が見事採用となった。

実際の制作は年が明けてから取り掛かったということで、「準備期間がツメツメで、大変でした」と話していたのは制作チーフを務めた同校1年生の西村直人さん。西村さんによると、参加者の募集は2月に入ってからスタート。区内の小学校に足を運んでは、朝礼の時間や昼休みに宣伝をした。「小学生の反応は良かったです。小学校で宣伝をした日には、必ず応募がきました。定員30組のところ、日曜日の集まりは順調だったのですが、土曜日はなかなか集まらなかったですね」。それでも当日の飛び入り参加などを含め両日で82人の親子が参加してくれた。西村さんは「とんび凧は歴史のあるものなので、若い自分たちが受け継ぎながら、まわりの皆さんにも伝えていきたい」としつつ、イベントについては「とにかく、トラブルなく終わってほしい。仮にトラブルがあったとしても、自分たちのイベントなので、自分たちでしっかり対処したい」と意気込みを語ってくれた。

同じくチーフを務めた同校の大塚愛さんは、このイベントを最初に提案したグループのメンバー。検索で見つけたとんび凧について、詳しい話を聞くためにプレゼン前の取材も行なったという。もう一方の“いろは・な・大田区”は大田観光協会が昨年制作したかるたで、遊びながら大田区の自然や文化、歴史が学べるもの。凧は一時職人がいなくなるなど存亡の危機があったという事実から、そしてかるたは認知度がなかなか上がらないという現状から、どちらも“もっと地元の皆に知ってもらいたい”という主旨でイベントを企画した。大塚さんは「文化について知ってもらいたいのはもちろんですが、来ていただいたからには、笑顔で帰ってもらいたいのが一番」と話していた。

日本工学院“イベント企画コース”実習レポート 凧とかるたで「大田区の魅力再発見!!」

「自分の手が一番の道具」と、さまざまなコツを伝授していた六郷とんび凧の会の会員さんたち。参加者も親子で協力しながら一生懸命

今回、学生たちが協力を仰いだのは地元団体「六郷とんび凧の会」の方々。この会では普段から子ども達に凧作りを教えており、教え方のノウハウはばっちりだ。学生たちは事前にメンバー宅を訪れるなどして打ち合わせを重ね、凧作りも体験したうえで当日に臨んだ。

さて、1日目は快晴ながら、揚げた凧が壊れてしまうほどの強風。そのため午前中から行なう予定だった通行人への凧揚げ体験は中止とし、飲食を提供するために設営したテントも準備途中でたたむことになった。午後からの凧揚げをどするうか、その判断を出来るだけ延ばすためにプログラムの順序を入れ替えて対応したが、最終的には悪天時の予定にそって室内で揚げ方の解説を聞いてもらうことにした。

参加していた親子連れに話を聞くと、「上の子が学校でもらってきたチラシを見て応募しました。今日は子守ということで下の子と3人で参加です。とんび凧について知らなかったので、驚きました」(お父さん)「凧は難しかったけど、作るのはたのしかった」(女の子)と充実の表情。また、「揚げパン発祥の地は大田区だった」「4月から地元蒲田を舞台にしたNHKドラマ『梅ちゃん先生』が始まる」など、学生からもたらされる大田区情報に、驚きの声を上げる参加者も多く、地元についてもっと知ってもらおうという目標は、しっかりと達成できていたよう。

なお、翌日の日曜日は凧揚げ日和となり、参加者はもちろん、多くの通りすがりの親子が凧揚げを体験。用意した飲食物も早々になくなるほどの大盛況となった。また、めずらしいとんび凧による凧揚げの様子は、周りでスポーツをやっている人たちからも注目の的だったという。

親子に地域文化の再発見をしてもらうことで“地域活性”という課題をクリアしつつ、親子、通りがかりの人、そして地元の凧作りプロフェッショナルとも“遊び”を通して触れ合える、意義深い内容となった本イベント。学生たちはこれから報告書のまとめにかかり、それを踏まえて来年度はイベントホールを利用した課題に取り組む予定という。今後も若いパワーとアイデアの力を活かして、大きく活躍してくれそうだ。(2012年2月18日(土)大塚泰子)



 

【実施概要】

大田区蒲田が舞台!連続テレビ小説「梅ちゃん先生」放送記念
大田区の魅力再発見!!作って、取って、あげよう! とんび凧・かるた体験教室

■会場:大田区多摩川緑地事務所・多摩川緑地自由スペース
■参加費:1組500円
■主な内容:とんび凧作り、凧揚げ、かるた体験、大田区発祥「揚げパン」試食etc.
■主催:日本工学院ミュージックカレッジ
■企画制作:日本工学院ミュージックカレッジ蒲田キャンパス コンサート・イベント科イベント企画コース(コンサート・イベント科ブログ
■後援:大田区、一般社団法人大田観光協会
■協力:六郷とんび凧の会