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アラブ首長国連邦(UAE)人の訪日ビザ免除でのインバウンド客増加の期待(170612)

【一般査証の免除】

アラブ首長国連邦(UAE)の国民に対して、一般査証の免除が本年7月より開始される。
これは外務省が今年の4月24日に発表し、準備が進んでいる。

今までは観光や商用でのUAE人の訪日には有料で3年間有効の数次ビザを発給していたが、パスポートにシール(無料)を貼ることで数次ビザの代わりとなるというもの。
この査証免除措置はUAE、日本間の商用、観光での交流が活発になり、UAEからの訪日者の拡大につながることが予測される。

日本からドバイへの渡航客は2007年以降下降気味とはいえ、年間約6万人に達している。一方昨年のUAEからの訪日旅行者は4500人となっており、訪日客の伸びしろはあると考えられる。
近年、ドバイでの日本文化への興味は上昇している。
本年4月にドバイで開催された「中東フィルム・コミックコンベンション2017(MEFCC2017)」にJETROはジャパンパビリオンを出展した。会場内で来場者にアンケートをとったところ、日本のアニメ・漫画が好きかどうかという質問については、98.2%が「好き」と回答した。
中東地域では日本のアニメが1980年代からテレビ放送されていたが、2000年代に入り、高速インターネットの普及により非公式サイトなどを通じて視聴できるようになったことや、書店でコミック本などが販売され始めたことで、日本のアニメ・漫画の人気が一層高まったといわれている。
また、カルチャーだけではなく、日本の食べ物の人気も高まっている。
数年前にドバイに出店した「ヨックモック」は100個、200個という注文が頻繁にあるほどの盛況ぶりだったり、日本のパン屋が進出し好評であったりなどの現象も見られる。

外務省、アラブ首長国連邦(UAE)国民に対して、一般査証の免除についてはこちら

 

【ドバイ国際博覧会】

一方、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでは2020年10月から2021年4月の約6ヶ月間、国際博覧会が開催される。
これは、国際博覧会条約に基づく登録博覧会(5年に1度開催される大規模博)であり、本年4月の閣議で我が国も公式参加することが了解された。

「ドバイ国際博覧会概要」
開催期間:2020年10月20日~2021年4月10日まで
テーマ:「心をつなぎ、未来をつくる」
種類:国際博覧会条約に基づく登録博覧会(5年に1度開催される大規模博)
日本側の対応:幹事省=経済産業省、副幹事省=総務省、文部科学省、農林水産省、 国土交通省、参加機関=JETRO

経済産業省では以下を参加する意義としている。
・世界各国から入場者が集まる本博覧会に参加することは国際社会において我が国への理解を深める絶好の機会となる。
・我が国が有する最先端技術が地球規模の課題に対してどのように貢献できるかを発信していく絶好の機会となる。
・我が国の魅力を世界に発信することにより、アラブ首長国連邦(UAE)はもとより、世界各国への貿易投資促進や、関連産業の相互連携の発展に寄与する絶好の機会となる。

このように2国間の交流が国際博覧会前と後に活発になることも期待される。

経済産業省ドバイ国際博覧会公式参加についてはこちら

ドバイ国際博覧会公式HPはこちら

 

【今後のインバウンド対応イベントの期待】

今回の一般査証の免除や国際博覧会開催により、今後UAEからの訪日客が拡大することが期待されるが、UAEの一人当たりのGDPは6万4000ドルを超えており、日本の約4万7000ドルを大きく上回る(2012年JETRO調べ)。特にそういった富裕層の取り込みは重要であり、日本国内の動きとしてはそうした訪日客を呼び込む施策としてのイベント開催等は検討課題となりそうである。例えばドバイは日本の大阪市と姉妹都市となっており、いみじくも2025年には大阪市も国際博覧会の誘致・開催を計画している。こういった動きを活用する施策なども一考であると思われる。
日本とUAE双方の民間レベルでの交流の活発化はインバウンド、アウトバウンドとも両方の経済効果が期待される。