HOME >  コラム・特集 >  伝統的な劇場で、新しいコンテンツ導入。新たな層の顧客開拓に(190610)
コラム・特集

伝統的な劇場で、新しいコンテンツ導入。新たな層の顧客開拓に(190610)

近年、マンガやアニメ等の若者向けの新しいコンテンツを基にした演目を伝統的な劇場が興業する動きが出てきている。
本年8月には毎年「ニコニコ超会議」で話題を呼んでいる「超歌舞伎」が京都の南座で公演される。
また、明治座ではやはり8月に人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」による公演が行われる。
松竹はHP上で「継承」と「創造」は歌舞伎の大きなテーマであり、内容や表現に新たな地平を切り開くとしている。
伝統芸能や歴史ある劇場の課題である、新しい顧客層(当然インバウンド含む)の開拓はこうした演劇製作側と劇場との意思を共有した姿勢から生まれるものであり、今後の新たな試みは注目されるところである。
 

【八月南座超歌舞伎 2019年8月2日~26日】
歌舞伎俳優の中村獅童と、バーチャルシンガー初音ミクが夢のコラボ。伝統文化「歌舞伎」と、最先端技術「ボーカロイド」が融合した、実像と虚像が融合して見せる新しい歌舞伎。
「超歌舞伎」は毎年4月に幕張りメッセで開催される「ニコニコ超会議」のなかで、2016年(平成28)年より行われ話題を呼んできた、日本の伝統芸能“歌舞伎”の新しい試み。主演の中村獅童氏は「とにかく若い人たちに歌舞伎に興味を持ってほしい」「若い方がたくさん来てくださって楽しかった」と語っている。今回はその初の本格的「劇場版」である。
中村獅童と初音ミクという座組みは当初からでNTTの超高臨場感通信技術「Kirari!」を筆頭とした最新テクノロジーを駆使した演出による斬新なパフォーマンスが反響を呼び、優れたデジタルコンテンツを表彰する『第22回 AMD Award』大賞をはじめ数々の賞を受賞している。
八月南座超歌舞伎についてはこちら
 
・南座について
江戸時代初期に起源を発し、正式名称は京都四條南座。同一の場所で今日まで興業を続けてきたという意味では日本最古の劇場。1906年に松竹に買収され、以後松竹の直営となっている。2018年11月に耐震工事が終了し、南座発祥400年を期に新たに開場している。今後は日本最古の劇場の価値を活かして次世代に継承することをコンセプトに「伝統的な古典芸能」から「新たなライブエンタテイメント」まで幅広い文化を内外に発信する劇場へと生まれ変わることを宣言している。
南座についてはこちら

 

【ももクロ一座特別公演 2019年8月17日~26日】
人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」による明治座での公演。
第一部は大江戸娯楽活劇「姫はくノ一」、第二部はライブショー「ももいろクローバーZ 大いに歌う」。
ももいろクローバーZが明治座で公演を行うのは初めて。第二部は明治座オリジナル演出ということで派手な映像演出を伴ったものとなると想像される。活劇とライブショーの二部構成ではあるが、明治座でのアイドルのライブショーは若いファンをターゲットとしており、伝統的劇場の新たな試みとして注目されている。
ももクロ一座特別公演についてはこちら
 
・明治座について
東京で最も長い歴史を持つ劇場で、創業は1873年(明治6年)。現在は1993年に再開発で立て替えた賃貸オフィスビルの浜町センタービルの低層階を占める形となっている。従来は、時代劇公演や時代劇俳優、演歌歌手など年配に好まれる芸能人が座長となった歌謡ショー形態の公演が中心であったが、2000年代に入るとテレビ局との提携による現代劇や観劇者の世代を引き下げたミュージカル形態の公演も行われるようになった。
明治座についてはこちら