HOME >  コラム・特集 >  新名所の大型施設が続々オープン
コラム・特集

新名所の大型施設が続々オープン

新名所の大型施設が続々オープン

ダイバーシティ東京プラザ・1階エントランス(Zeppゲート)

誰もが楽しめる「劇場型空間」、ダイバーシティ東京プラザ

首都圏はこの春、大型商業施設のオープンラッシュに沸いている。「三井アウトレットパーク木更津」(4月13日)、「東急プラザ表参道原宿」(4月18日)、「ダイバーシティ東京プラザ」(4月19日)、「渋谷ヒカリエ」(4月26日)などが相次いで開業。5月22日には「東京スカイツリー」に隣接する「東京ソラマチ」がオープンする。注目されるのは、これらの施設がショッピング+αの提案を行い、回遊の楽しみを増している点だ。

「劇場型空間」をコンセプトに、誰もが楽しめる娯楽施設の特色を強く打ち出したのが、お台場で10年ぶりの新施設となった「ダイバーシティ東京プラザ」。臨海副都心地区最大級の約4万5,300㎡に、ファッション、グルメ、エンターテインメントと、バラエティに富んだ154店舗が出店。ターゲットはファミリー、カップル、オフィスワーカーから外国人観光客までと幅広い。三井不動産株式会社の専務取締役商業施設本部長の飯沼喜章氏は、「商業施設の画一化を打破することを目指し、これまでにないオンリーワン施設になった」と胸を張る。

大きな話題となっているのが、国民的人気アニメ、ガンダムシリーズの世界が体感できる「ガンダムフロント東京」(7階、詳細はイベントレポート)。屋外のフェスティバルゲート前に建つ体高18mの実物大ガンダム立像はGW中たいへんな人出を集め、すでにお台場の新名所となっている。このほか、音楽をメインに多様なカルチャーを発信する「Zeep DiverCity(TOKYO)」(2階)、各種スポーツやアミューズメントが楽しめる都内最大級の「ラウンドワン スタジアム」(6階・7階)など、3つの大型エンターテインメント施設が入居する。

エンタメ色はほかのフロアにも顕著だ。“東京トレンド”の発信に力を入れ、秋葉原のメイドカフェ「めいどりーみん」(6階)、新大久保の韓流グッズショップ&カフェ「KOREA 芸能人ひろば ODAIBA」(4階)、東京の名店が集まるエリア最大級のフードコート「東京グルメスタジアム」(2階、約700席)などが出店。フードコートには、半年ごとに旬な店舗が入れ替わる「おいしい日」もある。2階東側には大手菓子メーカーのアンテナショップが集積。店頭でオリジナルスイーツを作ってもらえる「キョロちゃんのおかしなおかし屋さん」(森永製菓)など、ライブ感のある店舗が並んだ。“東京トレンド”を世界へ向けて発信するのが、フジテレビとタイアップしての新規出店支援企画で誕生した「東京トレンドプロデュース」(5階)だ。最終審査に通過した4店舗に出店区画(1区画約16~66m2)の提供や内装などのサポートを行った。花びらにメッセージをプリントできる「Patisserie+Flower」など、個性的な店舗が軒を連ねる。

フジテレビとのコラボで通年のイベントを開催

店舗展開だけでなく、イベント(http://www.divercity-tokyo.com/event/)にも力を入れる。フジテレビや人気パフォーマンスグループ・EXILEの所属事務所であるLDH、エイベックス ネットワーク、ソニーミュージックなどをプロモーションパートナーに、通年でイベントを開催。「東京の新名所」を目指し、にぎわいを創出する。三井不動産には、ららぽーとやラゾーナなどのリージョナル型商業施設でイベントを手掛けているノウハウもある。イベントの核となるのは、敷地中央のシンボリックな大屋根と大階段で構成される「フェスティバル広場」だ。ガンダム立像を臨むこの広場は、同館のランドマーク。広場に面したフェスティバルゲートには、世界初の太陽光発電によるデジタルサイネージを設置し、イベント情報などを発信する。一方、館内にも、4階西側のエレベータ前に「エンタメスペース」を確保した。ここでは、コンセプショナルなイベントを開催し、よりダイレクトな訴求を行う。

広告スペースにも来館者を楽しませる仕掛けを施した。フードコートに設置された、幅10m×高さ3mの巨大サイネージ、「アミューズメント・ウォール」がそれだ。韓国から日本初上陸のこのウォールは、特大広告として使用するだけでなく、中央の80インチパネルで記念写真を撮影したり、その画像を壁全体に“浮遊”させて遊ぶことができる。インタラクティブなサイネージは、フードコートに新しいにぎわいを生みそうだ。(問い合わせは(株)日テレ アックスオン。℡03-3222-2821)

新名所の大型施設が続々オープン

4階西側エレベータ前の「エンタメスペース」

若者の町に大人を呼び込む渋谷ヒカリエ

一方、“若者の街”渋谷に大人を呼び込む施設として注目されているのが、「渋谷ヒカリエ」。東急電鉄が東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転を見据え、渋谷再開発事業のリーディングプロジェクトとして東急文化会館跡地に建設した。地上34階地下4階、延床面積は約14万4,000㎡という巨大な複合施設は、商業施設「ShinQs」とオフィス、劇場・ホールなどの文化施設からなる。「東急文化会館のDNAを引き継いだこれまでにない施設。渋谷をクリエイティブやエンターテインメントの豊かな街として幅広い世代の方に楽しんでいただきたい」(野本弘文・東急電鉄社長)

8フロアに展開する「ShinQs」(地下3階~地上5階)は、20代後半から40代の働く女性がメインターゲット。生活雑貨・ファッション・ビューティー・フードにカテゴライズされた約200の店舗が、“自己編集力”を持つ人たちへライフスタイルを提案する。売場だけでなく、居心地のよい空間づくりも目を引く。拡大鏡やフットマッサージ器、消臭効果のある「エアシャワーブース」まで設置されたレストルームは、従来の「トイレ」の概念を覆すやすらぎの空間だ。

劇場・イベントホール・アートスペースを併設

文化発信拠点を目指す「渋谷ヒカリエ」の顔といえるのが、劇場・イベントホール・アートスペースの3つの文化施設。中でも、7月にオープンする世界最大級のミュージカル専用劇場「東急シアターオーブ」(11~16階)は、本場のミュージカルを次々と上演することでも注目される。客席数は1,972席。舞台と客席の距離が近く、どこに座ってもダンサーの足元の動きまでよく見える絶妙な勾配が特徴だ。こけら落としはブロードウェイミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」(7月18日~8月5日)。“宙空に浮かぶ劇場”は、ビュッフェ(14階)から眺める地上70メートルの大パノラマも魅力で、大人の社交場として人気を集めそうだ。

劇場の下には、都内最大級のイベントホール「ヒカリエホール」(9~10階)がオープンした。1,000㎡と300㎡の2つのホールは、各ホール単独でも両方を一体的にも使える。ファッションショー、セミナー、展示会、パーティなど、さまざまな目的に対応可能なスペックを完備し、機能性は抜群。イベントの様子は館内のデジタルサイネージで流すだけでなく、屋外広告・ビジョンと連動させて発信し、渋谷の街をジャックすることもできる。エンターテインメントを世界へ発信するプレゼンテーションの舞台へ早変わりし、イベントの可能性がぐっと広がる。

「8/(はち)」(8階)は、フロア中央の多目的スペースを囲み、7つのスペースからなる新しい形のアートスペース。47都道府県をテーマにしたミュージアムやショップ、現代アート・工芸などの企画展を開催するギャラリー、Wi-Fiも使える個人・企業向けのメンバー制ワークラウンジなど、多彩な展開でクリエイティブを発信していく。

度肝を抜くのが、文化施設やオフィス(17~34階)のエントランスである「スカイロビー」(11~16階)。5層にわたる吹き抜けが貫く立体的な空間は、開放感いっぱい。巨大な“宙空の広場”をさまざまな人が行き交い、「渋谷ヒカリエ」を象徴する場所になっている。

ターミナル駅直結の利便性

イベント・広告スペースは各所に配置(詳細はこちら)。 そのうち、B3と2階の通路脇には、滑らかな映像表示を実現する大型曲面ディスプレーを設置した。また、2階には人の動きを感知してコンテンツを配信する インタラクティブ機能を持つディスプレーを、B1の売場中央に60インチディスプレー4面組みの大型マルチビジョンを設置した。さまざまな手法を組み合わせることで最大限の効果を狙う。

「渋谷ヒカリエ」の特長は館内の回遊性だけでなく、ターミナル駅直結という利便性にある。2階は跨道橋でJR渋谷駅と、地下3階は東京メトロ副都心線・田園都市線渋谷駅と、それぞれ直結。さらに、現在駅舎が分かれている東横線(地上)と田園都市線(地下)が年内に相互直通運転を開始するため、東急東横線の渋谷駅とも地下で直結する。また、2階は青山方面へ抜ける通路がフロアを貫通。道玄坂の高低さが渋谷の街の回遊性にネックになっていたが、「渋谷ヒカリエ」の開業で渋谷駅と青山方面をつなぐ宮益坂方面のアクセスが改善された。この通路だけでも1日の推定通行客数は約10万人に上るそうだ。「渋谷ヒカリエ」を核に、渋谷駅周辺の人の流れが変わりつつある。

地域経済の起爆剤として期待

「ダイバーシティ東京プラザ」は年商300億円・年間来館者数4,800万人、「渋谷ヒカリエ」は年商250億円・年間来館者数1,400万人をそれぞれ見込む。巨大商業施設の開業は、地域経済の起爆剤として期待される。

お台場に観光客を呼び込もうと、「ダイバーシティ東京」の開業日から運行したのが、港区運営のシャトルバス「お台場レインボーバス」。お台場エリアと田町駅・品川駅を結び、「田町ルート」「品川ルート」の2路線をスタートさせた。「ダイバーシティ東京」側でも臨海副都心地域の各施設が参加する街づくり協議会と連携し、青海・台場エリアをまわる無料巡回バス「ベイシャトル」を停留させるほか、スカイツリーとお台場を結ぶ水上バス「水辺ライン」を運行する(5月22日~11月30日まで)。お台場の年間来街者数は4,800万人。2009年をピークに減少傾向にあり、これまでも地域を挙げた振興策が練られてきた。競合する既存施設からは、相乗効果を期待する声も上がる。

「渋谷ヒカリエ」に期待を込めるのは、地元の渋谷区。同区はヒカリエの開業に合わせて東京商工会議所支部と初の観光協会を設立。観光案内のほか、ファッションやインテリアなど、「渋谷らしいデザイン」の創造・発信を支援する「渋谷系デザインセンター」事業も開始する。多くの若者でにぎわうイメージがある渋谷も、来街者は年々減少傾向にあり、危機感を抱く事業主も多い。大人をターゲットにした「渋谷ヒカリエ」の開業は、地域に新たな客層を呼び込む商機だ。同区の原宿・表参道エリアには今春、「東急プラザ 表参道原宿」もオープンした。渋谷・原宿・表参道という日本の流行発信地が一体となって盛り上がれば、さらに大きな波及効果も見込めそうだ。

一方、新しい商業施設を迎え撃つ百貨店業界はオーバーストアへの対抗策に知恵を絞る。「イベントに力を入れる」(そごう・西武担当者)など、新しい集客対策に取り組むところもあり、新商業施設の登場をきっかけに、既存施設が活性化することも考えられる。

東京が出発地点から着地点へ

東京で大型施設の新規開業がこれほど集中することは珍しい。要因としては、2008年のリーマン・ショックを契機に、予定されていた工事が延期され、2012年に集中したという見方もある。これについて、「渋谷ヒカリエ」の開発プロデュースに携わる(株)東急エージェンシー クロスメディアソリューション局 局長の林令一郎氏は、「『渋谷ヒカリエ』や『東急プラザ表参道原宿』は東京メトロ副都心線の開通に合わせて計画された。その他の施設も地下鉄交通網の完成が影響したのではないか」と推測する。

いずれにせよ、個性的な商業施設は館内を回るのが楽しいばかりか、周辺地域の回遊性をも高めることは間違いない。林氏は「リーマン・ショックから5年、東日本大震災から1年と消費低迷が続いた中で、消費欲求が高まる絶好のタイミング」と歓迎する。また、「出発地点だった首都圏が、着地点としての魅力を持つようになった」(観光業)と、新しい施設が首都圏の観光の底上げにつながるという声もある。このオープンラッシュを契機に、都内広域はもちろん、日本各地で人の流れに変化が起きそうだ。

各施設概要(延べ床面積:㎡、年商見込み・総事業費:億円、来観客数:万人)

施設名 開業日 運営主体 延べ床面積 店舗数 年商見込み 総事業費 来観客数
東急プラザ表参道原宿 4月18日 東急不動産 11,900 27 90(初年度) 600 400
ダイバーシティ東京プラザ 4月19日 三井不動産 45,300 154 300 792 2,500
渋谷ヒカリエ 4月26日 東急電鉄 144,000 200(ShinQs) 250 1000 1,400
東京ソラマチ(SC) 5月22日 東武鉄道 52,000 312 300 1430 3,200

ⓒ創通・サンライズ