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開幕迫る「TOKYO DESIGNERS WEEK 2011」 3.11後初の開催はどのようなメッセージを発するのか

今年のテーマは「LOVE/ARIGATO 地球への愛。人への愛。モノへの愛」ap bankとのコラボも実現

開幕迫る「TOKYO DESIGNERS WEEK 2011」 3.11後初の開催はどのようなメッセージを発するのか

会場予定図。今年のショーデザイナーは建築家のフロリアン・ ブッシュ氏(ドイツ)

毎年秋に、明治神宮外苑の絵画館前グラウンドにて華々しく開催される、国内最大級のデザインの祭典「TOKYO DESIGNERS WEEK」(以下TDW)が、今年も11月1日(火)~11月6日(日)の6日間にわたって開催される。それに先駆け、主催のDESIGN ASSOCIATION NPOの川崎健二理事長をはじめとする関係者が出席した記者発表会が都内にて開催された。

今年のテーマは「LOVE/ARIGATO 地球への愛。人への愛。モノへの愛」。実は「LOVE」というテーマは2006年に掲げたもので、本来今年のテーマは「PINK」となるはずだった。しかし3月11日の東日本大震災およびその後の福島第一原発の事故という、かつてないほどの災害が起きたことを受け、「心の環境」「生活の環境」「地球の環境」ということをもう一度考えてみようということで、5年前のテーマをあえて再び採用した。

「私たちは『環境』を大きなテーマにしていますが、それは『地球環境』だけに限りません。地球の環境の前にまずは『心の環境』が大切だと考えます。例えばホッキョクグマが大変だと。その事実を知っても自分の生活がおかしければ、地球環境を大切にしようという気持ちにならない。そうなるためには『心の環境』が大切ではないでしょうか。『心の環境』『生活の環境』『地球の環境』。この3つの環境をデザイン、アート、音楽の力で表現していこうと考えています」(DESIGN ASSOCIATION NPO 川崎健二理事長・以下同)

まずデザインは言うまでもなく、「TDW」の根幹をなす部分。今年も大きなテントが登場し、企業ブースやアマチュアの作品が立ち並ぶ。その外には「TDW」名物である学生展、貨物列車用のコンテナをブースとして使う「コンテナ展」が並ぶ。

アートについては、昨年から特に力を入れており、日比野克彦氏が監修する「アウトサイダー展」、ミヅマアートギャラリー企画の、日本独自の美学を伝える「ジャラパゴス展」などが行なわれたが、今年はさらに規模を大きくしたいとのこと。アートギャラリーによる企画展や映像インスタレーション、200mにおよぶ壁面フォトアートギャラリーなどが予定されている。

3つめの音楽についてが、今年の最も大きな特徴だろう。小林武史氏、櫻井和寿氏(Mr.Children)によるap bankと「TDW」がコラボレーションをすることが決定。詳細は未発表だが、音楽イベントとともに、作詞作曲のワークショップなども予定されているという。「TDW」側より以前から打診をしていて、2年越しに実現したそうだ。

また、近隣のショップと連携をしたストリートイベント「SHOP EXHIBITION」を今年も開催。メイン会場だけにとどまることなく、来場者の回遊性を高めることをねらいに、ステッカーラリーなどの企画も用意されている。

「感性教育」――次代を担う子供たちのための教育プログラムにも力を入れる

さて、3月の震災以来、様々なイベントで被災地支援の動きが活発だが、もちろん「TDW」も例外ではない。今年は「ARIGATO PROJECT」と題された新企画を実施する。

これは、今回の震災に対して世界中から届いた支援に対する感謝の気持ちを表すとともに、人と人とのつながりや人の優しさに対して「ありがとう」を贈るというプロジェクトで、今回の震災の記憶を風化させることなく後世に伝えるという意味も込められている。

すでに、クリエイターと被災地の子供たちが「ARIGATO」をテーマにした集合作品を制作する企画は進行しており、9月中旬から下旬にかけて宮城、福島(2か所)、岩手の小中高校に訪れている。「TDW」会期中はテント内に本プロジェクトのスペースが設けられるほか、国内外からのアーティストやデザイナーから募集をした「ARIGATO」作品などを多数掲載した書籍も世界発売予定となっている。

被災地でのワークショップは子供たちが主役だが、「TDW」としては子供を含む若年層への教育の場作りという点にも非常に力を入れている。 すでに11回を迎える学生作品展はもとより、小中学生の子供を同伴した親の入場料を割り引く制度や数々のワークショップなど、次世代を担う若い世代のための「感性教育」を大きなテーマに掲げているのだ。「特に念頭に置いているのは小中高校生年代。大学生対象の学生作品展を10年やってきて感じたことは、もっと幼児の頃から『感性教育』が必要ではないかということでした。今後はこうした点をよりプログラムに取り入れて、また、もっと速度を上げていきたいとも考えています」(川崎氏)

DESIGN ASSOCIATION NPOが今春からスタートさせたオピニオン番組「TOKYO AWARD」(テレビ東京)では様々なクリエイターが登場してデザインシーンを語るが、これも彼らの生の声を通した「教育」という側面がある。 イベントタイトルにこそ「デザイン」の文字はあるものの、それだけにとどまらない、幅広さが「TDW」の特徴でもある。それが今年はさらに顕著になりそうな印象を受けた。「今年の『TDW』は昨年以上に大きく変わります」(川崎氏)

2011年現在の最新デザイン事情とそれを取り巻く環境、そして次世代に受け継ぐべきものをどのように見せるのか。足を運んだ人間はそれをどう受け止めるのか。来場者数は6日間で10万人を目標にしている。(鈴木隆文)

 

<TOKYO DESIGNERS WEEK 2011 概要>

日程:2011年11月1日(火)~11月6日(日)
会場:明治神宮外苑絵画館前グラウンド
主催:DESIGN ASSOCIATION NPO
後援:経済産業省(予定)
入場料:1回入場券2,500円(当日)・2000円(前売り)
※親割・親1名につき1,500円・親2名で2,500円
※TOKYO DESIGNERS WEEK割引パスポート(当日のみ)2,000円学生2,000円
目標来場者数:10万人(6日間)
テント面積:6,600㎡
公式サイト:http://www.tdwa.com/