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福岡パルコ オープン1周年記念イベント“ナイト・パーティ”を開催

福岡にパルコがオープンして1年。その記念として、営業時間を2時間延長し販売フロアを開放したパーティタイプのイベントが開催された。東北大震災後、消費者マインドが下降気味の中、「パルコらしさ」を意識しながらの展開が福岡でも注目された。

福岡パルコ オープン1周年記念イベント“ナイト・パーティ”を開催

フロアの様子。イベント開催の間、1階フロアの売り場は通常営業となった

福岡パルコ オープン1周年記念イベント“ナイト・パーティ”を開催

ライヴを楽しむギャラリー。やはり、ファッションやカルチャーに関心が高い若い女性が多かった

福岡パルコ オープン1周年記念イベント“ナイト・パーティ”を開催

メキシカンアルパの日本で唯一のパフォーマーによるライヴ。ライヴ会場はエスカレーター前の広いスペースを利用した

福岡パルコ オープン1周年記念イベント“ナイト・パーティ”を開催

フロアの様子。招待されたのはメルマガ読者、カードメンバーなどコアなパルコファンだけに、よりいつもと違った空間を楽しめたようだった

 

 

 

オープンからの経緯 ―競合大規模商業施設もオープン―

1年前、福岡パルコは昭和11年創業の老舗百貨店・岩田屋の移転後の空ビルに入店。全国の主要な地方都市の中でも福岡にはなかなか出店がなく、その“待望のオープン”は地元メディアだけでなく九州全域、また山口などの西日本地域からも大きな期待を持って迎えられた。福岡パルコが入店した旧岩田屋は、福岡市のベッドタウンである県南部と天神地区をつなぐ西鉄福岡駅ターミナルビルに隣接すること、また九州中から高速バスが集結する福岡バスターミナルからも至近距離にあることから、非常に好調な滑り出しであった。また、デパ地下を意識したグルメフロアの充実や、九州初出店のブランドテナントの出店ラッシュ、月替わりでショップが変わるマンスリーショップ「once a month」の開設など、福岡の若い世代と、その少し上の世代が欲しかったものをタイムリーに提供し、エンドユーザーに満足をもって迎えられたようだ。 また、相乗効果として周辺の他の大規模商業施設にも来館者数のアップが見られ、郊外型ショッピングセンターへと向き始めていたファミリー層を中心とした消費者の目を、天神地区に引き戻す大きな原動力となった。

その一方、オープン1周年を迎える直前に、地下鉄で10分足らずの場所にあるJR博多駅の大規模改修が終了。こちらには、これまた福岡市民待望であった東急ハンズと、大規模百貨店・阪急が出店した。パルコのオープンから丸1年も経っていなかったが、地元メディアは新ターミナルビル完成前から九州新幹線開通記念と合わせた特集番組を組むなどし、結果的にパルコだけでなく天神地区の商業施設の露出がぐっと減った時期があった。また、郊外型のファミリー向け商業施設もどんどん出店ラッシュが続いた。

結果的に福岡エリアの商業地区は、九州一の歴史あるショッピングエリアである「天神地区」、九州新幹線で大量に消費者を運んでくる「JR博多駅」、そして映画館などのアミューズメント施設を兼ね備えた「郊外型商業施設」といった3者による構図ができていたように思われる。

カルチャーの担い手として期待

そうした福岡の流通事情の中、天神地区の他の商業施設から「福岡パルコ」に寄せられる期待はやはり、“東京直で送られてくる最先端カルチャーの提供者”としての役割だろう。パルコファクトリーで開催されるさまざまなホールイベントはもちろん、月替わりのマンスリーショップや他の商業施設とジョイントして実施されるイベントなど、若い世代の消費者にとって、福岡パルコは「刺激を受ける場所」、「新しいモノに触れる場所」に間違いない。福岡市とその近郊だけでなく、九州中から来店者を集めており、エッジの効いたショッピング施設と認識されている。また、同エリアの他の商業施設も、その集客からの来館流入効果に預かっているため、メンバーカードやプリペイドカードなどの共有化による連携事業も多数行なわれているようだ。

ショッピングとカルチャー、コミュニケーションを融合

福岡パルコ オープン1周年記念イベント“ナイト・パーティ”を開催

ツルタバレエのパフォーマンス。夜のデパートでな行われる繊細で柔らかなバレエは異空間に来たような不思議な面白さを演出したようだ

以上の経緯の中で開催されたのが、オープン1周年を記念した今回の「福岡パルコナイトパーティ」だ。イベントの内容としては、福岡パルコのメンバーカード所有者、メールマガジンの読者などから、抽選で350名にインビテーションカードを送り、通常の営業時間終了後のフロアを開放したパーティに招待するというもの。招待状と引き替えにウェルカムドリンクやフィンガーフードなどのもてなしがあり、アルコールやおつまみを楽しみながら、ショッピングもできるというシステム。希望する人にはワンコインで川越の小江戸ビールやイタリアンエスプレッソのillyのドリンクなどを買うこともできた。

ドリンクとフードの提供以外にも、「メキシカンアルパ」のライヴや「ツルタバレエ」のメンバーによるパフォーマンスなども行なわれた。ちょうどその期間にマンスリーショップとして入店していたネイルサロン「ウスル エア ラインズ」の無料体験コーナーも展開し、同じフロアでありながら、昼間とはまったく違った表情を持つ空間を楽しめたようだ。

「今後も既存の商業施設では挑戦できないアバンギャルドなイベントを行なっていきたいですね。そうすることで街の面白さを多層的に積み重ね、天神エリア全体の原動力でありたい思っています。良い意味でも、悪い意味でもカウンターカルチャーを提供するパルコらしさを情報発信していきます」(株式会社パルコ 福岡店 営業課 平松有吾氏)。

店舗やエリアが乱立し、その個性をどう出していくかを考えたとき、「イベント」は大きな手段となることを改めて考えさせる事例。狙い通りのインパクトを与える企画だったのではないだろうか。

(2011年 天野眞由美)

 

イベント概要
開催日 2011年5月26日 21:00~23:00
会場 福岡パルコ 1階
入場料 500円(1ドリンク込み・各種会員は無料)

 

福岡パルコについて
所在地 福岡市中央区天神2-11-1
開業 2010年3月19日(グランドオープン)
URL http://www.parco-fukuoka.com/page/