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~過去のサミット開催記念イベントを振り返る~
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2016年主要国首脳会議、開催地は伊勢志摩に
~過去のサミット開催記念イベントを振り返る~

安倍晋三総理は2015年6月5日、2016年に日本で開催される主要国首脳会議(サミット)を三重県の伊勢志摩で開催することを発表。

驚くべきはその経済効果。地元の百五銀行(津市)グループのシンクタンクによると、経済波及効果は県内だけで約130億円、全国では約510億円と試算している。それだけのヒト・モノ・カネが動くのがサミットであるので、開催に併せてイベントを実施することで集客効果が通常よりも期待でき、一種の”ビジネスチャンス”と捉えることができる。
そこで前回、2008年に開催された”北海道洞爺湖サミット”と2000年に開催された”九州・沖縄サミット”に併せてどのようなイベントが実施されたかをいくつか振り返りたい。

 

まずは北海道洞爺湖サミット。
開催地である洞爺湖町が実施した「サミット開催100日前イベントキャンドルナイト」では、サミット開催前100日前を記念し、歓迎気運の醸成を図るため、管内の11の自治体でペットボトルキャンドルで「G8 Welcome」の火文字を灯すなど、各種イベントを実施。洞爺湖町ほか胆振地域11市町と胆振支庁も協賛して開催した「とうやいぶりフェア」では、胆振地域の多様な魅力を発信するためボルタ体験や空き店舗を活用したアンテナショップの開設、地元特産品の販売、スタンプラリーなどを実施した。旭川では、「北海道カレーサミット」を開催。北海道洞爺湖サミット開催を記念して、道内で地域食材等を活かした8地域のご当地カレーを集結させ、食材王国北海道を華麗(カレー)に盛り上げるイベントとして盛況であった。

北海道洞爺湖サミット開催記念イベントとして最も大きいものは、札幌ドームで行われた「北海道洞爺湖サミット記念環境総合展2008」であろう。同イベントは、、全国333社の企業・団体・政府機関等の地球温暖化対策をはじめとする最先端の環境技術・環境製品など最新の取り組みが展示され、3日間の期間中に8万人以上が来場した。

ほかに、「国際メディアセンター(IMC)」を利用するプレス関係者を通じ、本道の情報を世界に発信する拠点として、「北海道情報館」をIMCホテル&コンベンション内に開設した。「北海道の魅力を体験・体感できる場」・「北海道の取材を触発・支援する場」・「癒し、休息、遊びを提供する場」をコンセプトに、館内を「エントランス」、「G8との関係」、「アイヌ文化」、「海」、「大地」、「冬」、「森」、「コミュニケーション」の8つのゾーンに分け、本道の個性と魅力を発信した。

さらに、サミットを契機に将来に向けた飛躍的な北海道観光の振興を図るため、官民の団体から構成する「G8北海道洞爺湖サミット『雪まつり・冬まつり事業連携会議』」を組織し、さっぽろ雪まつり及び道内主要冬まつりにおいて、主に海外からの観光客を対象に、サミット開催と北海道観光の魅力を発信するPR事業(PR用ブース等での幟・ポスターなどの掲示、リーフレット配付、通訳接遇スタッフによる観光案内等)を行った。

また、さっぽろ雪まつりに訪れる道内外の観光客等を対象に、JR札幌駅南口広場において、サミットの主要議題である環境問題についての取組紹介、本道の食と観光の魅力を発信する事業(PR展示テントの設営、木質ペレットストーブの実演展示、観光パンフの配付等)を行い、歓迎機運の醸成を図った。

ほかに、サミット開催にあたり、美しい花々で、来道する方々を歓迎するため、「北海道『花いっぱいでお迎え』プロジェクト」を行うこととし、洞爺湖町をはじめとする関係機関や民間団体等で構成する連絡調整会議を設置し、推進構想を策定するとともに、平成20年4月22日に開催された「キックオフ(kick-off)セレモニー」を合図に、道内各地で、行政、企業、住民が一体となった「花と緑あふれる北海道」の素晴らしさを広く国内外に発信する取組みが展開された。道路沿線の植樹枡への花植えやプランターの設置などをはじめ、新千歳空港近隣では千歳青年会議所などが中心となって「花の地上絵」を作成し、航空機で来道する方々をお迎えしたほか、JR北海道では、100を超える多くの駅で、地域の方々が「花の駅長さん」となって駅を花で飾るおもてなしの取組みを行った。

平成19年7月7日には、サミット開催の1年前を記念して、「北海道洞爺湖サミット1年前七夕イベント」として、安倍総理大臣(テレビ会議出演)、若林環境大臣他関係者と伊達市、洞爺湖町、壮瞥町、豊浦町の小学生47人が参加し、『「美しい星への願い」北海道洞爺湖サミット1年前七夕イベント』を開催した。イベントでは、環境問題やサミットへの願い事を書いた短冊を笹に結びつけ、また、七夕イベント終了後、サミットに向けた歓迎機運を盛り上げるため、洞爺湖ビジターセンター敷地内において、企業協賛により「北海道洞爺湖サミットカウントダウンボード」を設置し、その除幕式を行った。
なお、7月18日には道庁前庭にもカウントダウンボードを、また、12月には新千歳空港ターミナルビルに、平成20年1月にはJR札幌駅前南口広場にそれぞれ企業協賛によりカウントダウンモニュメントを設置し、サミットの歓迎機運の盛り上げを図った。

また、留寿都村のルスツリゾートには「国際メディアセンター」が設置され、後志支庁管内が海外から大きな注目を浴びることも踏まえ、新鮮で高品質な地域の食材等を出展するイベント(「北のまるしぇ」)を市場(マルシェ)形式で開催し、後志の魅力の一つである「食」を中心に、海外プレスの方々を介してPRした。

 

次に沖縄サミットを振り返る。
「沖縄サミットプレキャンペーン 沖縄文化フェスタ2000」(主催・県サミット推進県民会議)では北海道・東京・大阪・福岡の4都市にて沖縄の物産、文化、伝統を紹介した。琉球舞踊やマジックショーの披露なども繰り広げられた。沖縄市の県総合運動公園で開催された「サミット子どもフェスティバル」(主催・県サミット推進県民会議)では、米軍基地内や沖縄の子どもたちの国際交流の機会として舞踊や吹奏楽など舞台発表が実施された。那覇市の沖縄ハーバービューホテルで行われた「沖縄ファッション・フォーラム2000」(県主催)では、沖縄のファッション産業等の可能性、発展性について探るフォーラムとファッションショーを実施。ショーでは、各国首脳らに着て貰う沖縄オリジナルウェアの試作品も紹介された。県内13市町村と主要ホテルを会場に行われた「海のカーニバル2000」(主催・県、沖縄観光コンベンションビューロー)は、沖縄観光4大イベントの一つで、ビーチ開きヨットレース、ハーリー釣り大会、マリンスポーツ大会などを展開。

ちなみに、イベントではないが「沖縄サミット」では、サミットがきっかけになり政府が発行し沖縄の守礼門が描かれた「2000円札」、沖縄をイメージしたラベルと琉球ガラスを使用したボトルのサントリー「2000年サミット沖縄開催記念ボトル」、サミット公式記念品にもなった琉球王朝伝統の琉球舞踏の衣装を着たタカラ「サミットリカちゃん」、日清食品からは「日清ラ王 沖縄そば」など、サミットに併せて様々なモノが流通した。

 

こうして振り返ってみると、地元資源を活かしたものやサミットの主要テーマに合わせたイベント、外国人へのおもてなしの心を大切にしたPRイベント、サミット開催を記念して製作した限定品などが好評であったので、次回2016年の伊勢志摩サミットにおいても同様の施策を取り組むことでビジネスチャンスに繋がるかもしれない。

 

(参考記事)

こども環境サミット札幌 2008年6月27日~29日  月間イベントレポート Vol.312

北海道洞爺湖サミット記念 環境総合展2008  月間イベントレポート Vol.312

九州沖縄サミット関連ニュース  月間イベントレポート Vol.213